遠くなっていく。
この手が届かないほどに。
いや、最初からこの手が届く場所にはいなかった。
果てしなく遠い場所にいた。
今さらこれ以上遠くに行ったところで、何も変わらないのに。
我ながら全くもって下らない。
覚えているだろうか、俺が厄介事を持ち込んでしまったことを。
覚えているだろうか、凹んだ俺にメッセージをくれたことを。
きっと覚えてはいないだろう。
それでいい。
全く、創作のネタにでも使えそうな話だ。
憧れの存在に優しくされて、でも相手はそのことを忘れている。
けれど自分はそのことを忘れずに――。
…なんて、少し設定を練れば小説が出来そうだ。
幸せな結末にはならないけれど。
早く雪が降れば良い。
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